第十三章 勇者も漢なら潔く散れ
前回、新しく始動したプロジェクト。
題して「桜ヶ池3分クッキング」企画な訳だが、
我々は早くも大きな壁にぶち当たっていた。
ナ「うーん…」
森「ナント村の特産を出すだけ出してみたものの」
ナント村
ジョウハナ 絹・アニメ
フクミツ バット・おかき・干し柿
フクノ 里芋・菊
イナミ 彫刻
イノクチ 椿
カミタイラ 合掌造り
タイラ 合掌造り
トガ そば・演劇
サ「もちろんこれ以外にもあるんですけど、有名所として出して見るとこんな感じかと」
ソ「この中で食べ物は…」
キ「おかき、干し柿、里芋、そば」
ソ「つまり、そばに里芋と干し柿とおかきを乗せろという事か…由乃もビックリな組み合わせだな…」
ナ「いや、それ端的すぎやろ」
森「全部素材そのままじゃん」
ソ「やはり余所者の我々だけで考えるのは限界があるな」
森「サコディ、誰か料理できる人とか知らないの?」
サ「まぁ、知っていると言えば知ってますけど」
ナ「けど?」
サ「大丈夫かなぁ」
サ「ジョウハナで長年、飲食店をされていた方ですが、無論、我々より年上です」
森「つまり、俺らの活動を理解してくれるか分からないってこと?」
キ「ただでさえ、分かりにくいですもんね、私たち」
ナ「その顔で言うと説得力あるなぁ」
ソ「ふっ。なんだそんな事か。サコディは心配症だな。見習いとは言え、俺を誰だと思ってるんだ?勇者だぞ、勇者!」
サ「これが一番心配なんです(泣)」
心配するサコディを尻目に、とにかく、その方と会って話をすることになった。
料理人=頑固職人というのもひと昔前の話だ。それに、サコディが事前に説明してくれているそうだから、たぶん大丈夫だろう。
料「…」
ソ「…」
超怖ぇし。
サコディ、先に言ってよ。
しかし、こんな事で怖気づく訳にはいかない。
私は聖剣に選ばれし勇者なのだから。
ソ「つまりですね…聖剣に選ばれた私が、桜ヶ池の桜を救いつつ、究極のメニューを作っていけたらいいな~という話なんです」
料「…桜ヶ池の桜と聖剣って何か関係あるの?」
ソ「あ、なんもないっす。すいません。本当は聖剣とかもどうでもいいんで、今の話忘れて下さい。」
サコディィィィィィィィ!!!!!
なんも事前説明されてねぇし!
私は、この漢と対峙するには、一筋縄ではいかないと悟った。
と同時に、ジョウハナの地で長年、村人達の胃袋と向き合ってきたこの漢こそ、
我々にとって今必要な人物であるという確信もあった。
ソ「本当の事言います。勇者とか言ってますけど、自分はただの会社員です。色々縁あって、富山にきて、この桜ヶ池の周辺で働く事になりました。そして、気づいたら桜ヶ池の桜の保全活動や地域おこしをやることになったんです」
ソ「自分自身、余所者で、まだどうやっていけばいいのか手探り状態なんですが、既に活動は動き出して、実際に人も集めます。この地域に直接関係ない人たちも、わざわざ足を運んでくれますし、次のイベントからは地元の方にも参加してもらう予定です。そんな人たちに何かお返ししたくて。これから寒い季節とか暖かいものでも振舞えたらって。その程度の浅はかな考えです」
料「…いいじゃねぇか。それで。俺だって元々は余所者だ」
ソ「え!?ここのご出身じゃないんですか?」
料「生まれは九州、その後も色々行って、気づいたらここにたどり着いて早18年。それでも、まだまだ余所者だけどな」
料「ここ、使えよ。何なら一緒に考えてもいい」
ソ「マジっすか?てか、ここ使っていいんですか?」
料「そのかわり、俺は腹がいっぱいにならねぇ料理は作らねぇぞ。漢ならがっつり系だ」
その後、特産品を探したが、なかなか見つからないこと、見つからないので、出来れば加工することで、新しい特産となるべく料理を作りたい旨を話した。
料「確かにこの辺は、大規模な特産産地じゃない。でも、小規模でも力をいれているものはあるし、素材として良いものも多い。それらを組み合わせて料理を作ることはできる」
ソ「可能なら、自分達でも作れるものにしたいんです。料理を作ってもらうことを丸投げするんじゃなくて、自身の手でも作ってみたい。」
料「0円食〇的な?」
ソ「はい。鉄腕〇ッシュ的な」
共通言語があるって楽。
こうして、プロの料理人にアドバイスを受けつつ、地元食材を活かした新メニューの開発を具体的に進めていくことになった。
まずは、次回の秋イベントまでの開発を目指して、究極のメニュー作りが始まる!
ソ「最後に1つだけ。さっきどうでもいいとか言ったんですが、一応、聖剣の勇者っていう世界観設定上、仲間になると、キャラ名を付けさせてもらってるんですが、昔、なんかあだ名とかありましたか?」
料「あだ名なぁ…大昔だけど」
料「たぬき。かな」
ソ「…(汗)」
料理の鉄人を、そんな動物の名前で呼ぶ訳にはいかない。
ここは私の独断と偏見で以下のキャラ名とさせて頂く。
グリーンラクーンが なかまに くわわった。
次回
地元の方との本当の連携を探る中で、重要人物と接触。
我々のパイセンにあたる方とご対面。