第十四章 紡がれてゆく歴史と共に
ソ「パイセン、シャース!!」
時間は少し前に遡る。
前々回あたりの定例会議にて、地元の方とのパイプを作ろう作戦を始めたわけだが、
さっそくサコディより、一度お会いしておいた方が良い方がいると連絡があったのだ。
この方はマキさん。残念ながら「サクラクエスト」の真希との関係はまったくないおじさんだが、
この地域の世話役の一人だ。
ソ「ご挨拶が遅れまして、サーセンでした!!」
マ「いやいや、そんな言うほどパイセンじゃないから気にせんといて」
ソ「いえ、勇者業界は体育会系なんで、パイセンはパイセンす」
サ「あ、マキさん、この人変なんで気にしないで下さい」
ソ「てめぇ、パイセンになんて口聞くんだ!!」
マ「あはは…」
ナ「勉強不足で申し訳無いんですが、マキさん達は、どういう活動をされているんですか?」
マ「俺ら、5年ほど前に“桜満開プロジェクト”っていうのを始めたがです」
話を聞くと、我々の活動よりもはるか前に、
桜ヶ池地域で何か出来ないか?というのをきっかけに、
長い間、整備が行き届いていなかった桜の保全活動を始めたそうなのだ。
マ「ただ、始めた頃は大変でした。ここらの桜が最初に植樹されたがが、37~8年前ながですが、当時は誰がどこに植えたがか
記録がなかったもんですから、所有者が分からんかったがです」
森「え!?ここの桜って全部持ち主がいるんですか?」
マ「全部ではないです。自然に生えてるものもありますけど、湖畔周りの桜はここらがまだナント村と呼ばれるまえ、ジョウハナの方たちが力を出し合って植樹されたがです」
キ「てことは、勝手にいじっちゃダメってことです?」
マ「はい。なので、まずは桜の持ち主が誰ながか、そして整備活動をしても良いかどうかの確認を取るところから始めて、持ち主を全員探すのに5年近くかかりました」
ナ「すごいっすね…」
我々、桜ヶ池クエストで整備活動をしているのは、桜ヶ池湖畔の中でも限られた一部であり、個人所有の桜はないので、大丈夫なのだが、活動範囲を広げる場合はきちんと声がけをすることが必要とのこと。
ソ「あぶなかった…勝手にやるとこだった」
マ「片っ端片からやると怒られる方もいますから、気を付けて下さいね(笑)」
サ「( ..)φメモメモ」
キ「所有者の方が分かったあとは、実際に整備をされてたんですか?」
マ「いや、我々の活動は基本的に桜のオーナーの方に集まってもらってやっとるがですが、既に60~70歳の方が多いので、そんなに大規模に何かしたり、力仕事は厳しいのもあり、年々参加者も減っていっているのが現状です。ですが毎年春と秋に2回は湖畔の清掃活動を続けています」
ソ「パイセン…そういう事なら仰って下さい。そういう時こそ、我らの出番です!」
ナ「言うも何も、まだ知られてないやん」
マ「いや、桜ヶ池で活動を始めた人らがおるいうがは知ってましたよ。どういう事をされとるがかは具体的に知らんかっただけで」
ソ「みなさんの活動、是非、我々、五人の勇者に手伝わせて頂けませんか?」
マ「勇者ゆうがちゃ何する人ながけ?」
ソ「勇者は…桜をよみがえらせるものたちです」
マ「そんながですか…魔王とか倒したりはせんがですか?」
ソ「えと…そうっすね、それもいつかは倒すと思いますけど、先に雑木を倒します」
森「最近、勇者設定がおざなりになってきてるよね?」
ナ「ブレ始めてるんちゃう」
サ「秋に清掃活動をされていると仰ってましたよね、であれば、我々の次のイベントも秋にやる予定なので、共同作業にするというのはどうでしょうか?」
キ「確かにそれなら、地元の方と一緒に作業出来ますね」
森「力仕事みたいな大変なことはこちらで受け持てばいい」
ナ「前回は作業時間が短すぎたのもあるし、次は割とガチでやりましょ」
ソ「マキパイセン。一緒にやらせてもらっていいでしょうか?」
マ「もちろん、全然かいません。こちらも若い人が来てくれるのは大変助かりますし」
ソ「よし!次のレベルアップクエストは、桜満開プロジェクトとの共同戦線でいく!」
見習い勇者ソーマと、マキパイセンは、ダチになった。
ソ「ちなみに、今後、桜満開プロジェクトはどういう風に活動されていくんですか?」
マ「俺らは、今やってる清掃活動や軽い整備活動が限界だと思ってます。ただ、何よりも大事なのは、コツコツでも続けることです。少なくとも、桜のオーナーの中には個人で30年以上整備を続けてこられた方もおりますし、そういう桜は今も春になると満開に咲きます。中には、親から孫へと受け継がれている桜もあるがです」
ソ「続けること…パイセン、アザーっす!!!」
マ「その、パイセンって言うがやめてくれんけ?(笑)」
次回
いよいよ、第二回レベルアップクエストの詳細を発表。
魔王を倒すより、みんなで雑木を倒そうぜ!!!