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2019. 3. 1

第二十八章 蛮族あらわる

雪山にて、桜ヶ池円卓会議が行われていた、あの日。

私は、昼休憩の間に、とある人物たちを待っていた。

話は少し前に遡る。

制「相馬さん、なんか手紙届いてますよ」

ソ「なにこれ?」

それは、幼い頃に見た、ル○ン三世でしか見たこと無いような手紙であった。

制「これ本物の蝋じゃないっすか?」

ソ「とりあえず開けて見るか」

 

中には次のような事が書かれていた。

予告状
【勇者ソーマ】殿
2月2日。
仲間たちとともに【王冠と木靴】を頂きに参上します。

 

制「王冠と木靴って、サクラクエストで作ったあれじゃないですか?」

ソ「なんということだ…王冠の危機!!!」

制「相馬さん、制作定例会議はー?」

我らが祖先であり、神のような存在である「サクラクエスト」の王冠と木靴を盗もうとは、この世には大それた奴らがいるものである。

私は、巌流島で宮本武蔵を待つ、佐々木小次郎のごとく待ち続けた。

そして…。

蛮1「ダーバ、ンダンジュ、ガーラ!!!」

蛮2「グルンガグルンガ!!!!」

蛮3「ガッパンバンラッガ!!!」

 

訳の分からぬ雄たけびと共に、奴らは姿を現したのだ。

ザツボクとの闘い以来、久々に戦闘の幕が開ける。

しかも、人型との戦闘は初めてである。

遠目に見る限りでは、まだ判別できないが、もしかしたら、あのマスクの下は美少女かもしれない。怪盗で3人組と言えば、キャッ○アイだ。

だから、美少女である可能性もまだ捨てきれない。

そう、まだ捨てきれない。

蛮3「ガレムデ!!!!!」

 

バンゾク×3 が あらわれた!

ゆうしゃソーマは けんせいのかまえ

バンゾクは ふしぎなかまえ

バンゾクは じぇっ○すとりーむあたっくを じゅんびした

バンゾク1の こうげき!

ゆうしゃソーマは ぼうぎょ!

ゆうしゃソーマは かうんたー!

かいしんの いちげき!

バンゾク2の こうげき!

ゆうしゃソーマは ぼうぎょ!

ゆうしゃソーマは かうんたー!

かいしんの いちげき!

バンゾク3の こうげき!

ゆうしゃソーマは ぼうぎょ!

ゆうしゃソーマの こうげき!

かいしんの いちげき!

 

バンゾクのむれを やっつけた!

63の けいけんちを かくとく!

 

他愛もない。既にレベル4の私にとって、蛮族など敵ではなかった。

なにより私はチーターなので、攻撃はすべて会心の一撃になるよう設定してある。

それよりも気になるのは、マスクの下だ。

もしかしたら。

もしかしたらですよ。

この3人が美少女であるという。

あるという可能性もね。

まだ捨てきれないと思うんですよ。

ソ「Nooooo!!!!!!Fuピー!!!!!!!!Siピー!!!!!!!!Godピー!!!!!!!Motherピー!!!!!!Ohピー!!!!!!!」

 

あまりの悲しみに、思わずハー○マン軍曹の口から出る、全ての言葉を発してしまった。

どうか良い子のみんなはマネをしないで欲しい。

桜ヶ池円卓会議のラストをハー○マンスタイルにしたのは、確実にこの影響だと思う。

ようやく落ち着きを取り戻した私は、彼らの話を聞く事にした。

ソ「あの手紙は君たちのものか?」

蛮2「オレ…バン…ナイ」

蛮3「タチ…タカオ…アルスト」

シ「俺たちは蛮族じゃない。タカオタクラフトという名の錬金術集団だ」

 

なんか良く分からんが、聖剣を作ったシムラーは彼らの知り合いらしく通訳可能らしい。

てか、話せるなら最初から喋ってくれ。

ソ「タカオタクラフト…まさか…君たち、あのタカオカルトアルケミストの末裔か!」

 

説明しよう。

聖剣がこの世に現れる遥か前。

この地を治めていたウシマツという王がいた。

彼は、魔獣チュパカブラに侵されつつあったこの地を救う為、聖剣を作りだした。

その聖剣に特殊なエンチャントを施したのが、タカオタの地に住む錬金術師達だった。

チュパカブラの討伐と共に、聖剣は役目を終え、本来の姿である木の聖剣に戻ったが、最盛期には“チュパキラー”という名の光り輝く聖剣だったという。

その後、錬金術師たちは、その技術を活かし、ウシマツ王に王冠を捧げたという。

ソ「するとこの王冠は…君らの祖先が作ったものなのか?」

錬「ラビーア!!!マッパ、ルッソ!!」

シ「おお!!これぞ我が祖先の最高傑作、ウシマツ王の王冠!」

ソ「良く分かった。でも、これは今、この地を治めるミキ王のものだからダメ」

錬「ナッパ、ナッパ、ナッパ!ドング、リーゲ!!」

シ「ちょ、ちょ、ちょ!少しだけ、貸して欲しい!」

ソ「何に使うの?」

シ「我らが技術を世に示すための祭典に展示させて欲しい」

ソ「…ちゃんと終わったら、返す?」

錬「ゲラ」

シ「返す」

私は思った。

ここで彼らに“恩”を売っておけば、いずれ聖剣に新たな力を宿す際に力になってくれるかもしれない。遠方の地であるタカオタではあるが、桜ヶ池の桜復活の為には、種族を越えた交流が必要不可欠なのだ。

こうして、新たな仲間を加えた見習い勇者ソーマは、桜ヶ池円卓会議へと戻ったのであった。

 

タカオタクラフトの

ダワが なかまに くわわった

ドーゴが なかまに くわわった

 

次回

膨大な会議を経て導きだされた「春の大クエスト」の内容がついに明かされる。

しかし、そこには不穏な空気が…。