第三十章 ノブレス・オブリージュ
今日の定例会議の場は最初からすさまじい緊張感に包まれていた。
まだ一言も発していないにも関わらず、ひしひしと伝わってくる“怒り”
いったい何を考えているのか?と言わんばかりの“困惑”
もう無理だ。という“諦め”
私は知らない。という“無関心”
ソ「…みんな、何か言いたそうだけど、何?」
森「…じゃあ、俺から言わせてもらう。先週のブログやtwitterの内容。あれは何だ?」
ソ「何だって言われてもねぇ。見たまんまだけど?」
森「FIRE FESTIVALとかいうあれは何だ!!!って聞いてるんだよ!」
ナ「ソーマさん、何やってるか分かってます?俺ら何も聞かされてないんやけど」
ソ「今日、話そうと思ってた」
ナ「あんな実現出来そうにないこと並べまくって、俺らがOKすると思ってたん?」
ソ「うん」
サ「絶対確信犯でしょ!どうせ言っても反対されるから、既成事実だけ作ったんや!」
ソ「だとしても、別にいいじゃん。まだ実現出来ないって決まった訳じゃないし」
サ「じゃあ、あの内容を本当にやるつもりなんですか!?」
ソ「うん。俺はいつでも本気(マジ)だから」
森「…キツネの娘は知ってたの?」
キ「反対したんですけど、ソーマさんが、この内容でアップしろと聞かなくて…」
森「今日という今日はもう我慢ならん!!!このクソ勇者!!!」
ナ「あんなもん、どんだけ金かかるんか、分かってんのか!!!」
サ「詐欺ですよ!!!ソーマさんのやろうとしてることは詐欺です!!!」
ソ「大袈裟だな、みんな。ちょっと冷静になれよ」
森「冷静にしてられるか!もう発表しちゃったんだぞ!」
ナ「今やったらまだ間に合うから、内容変更の発表を出そう」
サ「そうですよ。今ならまだ、見習い勇者の冗談ってことで許してもらえます」
ソ「イヤだ」
森「イヤだじゃねぇんだよ、このクソ勇者!!!」
ソ「絶対にイヤだ!勇者は1回言ったことは必ず守るんだ!」
ナ「こいつ、ホンマにヤバイで」
森「ほら、さっさと先週のブログの内容は冗談でしたって書け!!!」
サ「これはソーマさんの為に言ってるんです。お願いします」
ソ「…」
森「そもそも、この写真何なんだよ!!!ムカつくわ!!!」
ナ「これこそウソまみれの証拠みたいなもんやな」
サ「メディアを使った情報操作ですよ」
ソ「…イヤだ。絶対やるもん」
森「いい加減にしとかないと、俺ら全員勇者辞めたるからな!」
ソ「!!!勇者としての義務を放棄する気か…仕方がない…キツネの娘、やってくれ!!!」
キ「もう、どうなっても知りませんよ…」
キ「我こそは、桜ヶ池の魔の化身なり」
キ「我が面の声を聞き、汝の心のスキマに刻み込め」
キ「マスター・オブ・サクラキツネが命ずる。全力でバカ者になれ!!!」
キツネのムスメは さいしゅうおうぎ モグスをはつどうした
ドゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ソ「これでいい…これでいいんだ!ハッハッハッハッ」
ソ「よーし、みんな大事な事を2つ言うぞ。1つ目」
大丈夫。君たちなら出来る。
皆「ハーイ」
ソ「2つ目」
仕事があっても、並行作業で出来る。
皆「ハーイ」
ソ「それじゃあ、みんなFIRE FESTIVAL、成功させてくれるかなー?」
皆「いいともー!」
キ「ソーマさん…みんなしばらくただの“バカ者”になっちゃいますよ」
ソ「大丈夫、大丈夫。1週間もすれば、みんな諦めて準備してくれるから」
次回
キツネの娘の最終奥義で“バカ者”にされてしまった勇者3人。
その効果は予想以上に高すぎて…。