桜ヶ池クエスト lv5 FIRE FESTIVAL 前半
2019年4月13日。天候が全てを左右する野外イベントにおいて、ここまでピンポイントに晴天になる事があるか?というぐらい、最高のお花見日和となったこの日。
朝方からバタバタと準備を進める勇者たちは、雲一つない空を見て一堂に胸を撫でおろした。
そんな中で、私が何をしていたかというと、縛られていた。
前日の夜の時点で、もう絶対に準備が間に合わないと悟った私は、置手紙を残して逃亡したのが、
追跡者達によって朝方捕縛され、さらし者にされたのだ。
しかも、このネットのご時世にSNSへの投稿はご自由にという、完全な肖像権無視な厳しい処罰であった。
当初は、物珍しさに写真を撮っていった参加者達も次第に慣れてくると1ミリも興味を示さなくなり、
ただ衆人環視の中に放置プレーされていた。
そもそも、今回のFIRE FIRESTIVALとは何なのか簡単に説明すると、要は大規模なお花見である。
キックスタートイベントから始まった桜ヶ池クエストの活動は、ようやく1年を迎えたわけで、
この間に、ギルド団として活動に参加してくれたみなさんや、今回新規で入団してくれた方々と共に、
はじまりの木の開花を祝おうというイベントである。
参加人数はちょうど50名(スタッフ込みで約80名)目標の100人には届かなかったが、全然かまわない。
これが今の我々の認知度であり、集客できる限界数が分かっただけでも、ありがたいことだ。
それでも半数近くは新規の参加者だったのは、やはり”はじまりの木”の開花を見たいという想いからの参加だと思う。
今回の「レベルアップクエスト04」は、1年間の活動に協力してくれたギルド団の労をねぎらうべく、
お花見×キャンプファイアをコンセプトに、桜ヶ池がもつ美しい景観と豪華な食事、そしてナイトパーティなどを行う事が事前に発表されていた。
しかしながら、本ブログを見てくれている方は分かると思うが、事前準備期間中のいざこざによって、
実際の準備期間は極めて短期であり、私が現実から目を背けるほどに準備は遅れていた。
イベント開始時刻となり、いつも通り森の人による開会宣言。
そして、長老からのご挨拶を賜った。
長老からは、まずは1年間、無事に活動を続けられた事と、ご協力いただいたみなさんへの感謝の言葉。
そして、はじまりの木が美しい花を咲かせてくれた事への喜びが語られたのだが、
最後に、イベント準備が間に合っていない事については、見習い勇者ソーマから弁明がありますので、
それを聞いた上で、皆さんが彼を許せないならマンジュウの礫をぶつけてやって下さいとの言葉で締められた。
V編が落ちそうな時の製作委員会さながら発言に、縛られていた私は一瞬で凍り付いた。
ギルド団の面々は、3列横隊に整列。
団長である見習い勇者ソーマが何を語るのか、静かに注視していた。
ソ「それでは…本日はお日柄も良く…」
私が話し始めた瞬間、参加者の一人が挙手し、質問をしてきた。
参「勇者殿に質問であります!今日、我々は豪華な食事やキャンプファイア、お花見、ぼんぼり点灯式などがあると聞かされて集まったのですが、どこを見ても、そのようなものがありません!これは、いったいどういう事でしょうか?」
非常にストレートかつ的を射た質問だったと思う。
状況を見て、少しは察してくれよ!と内心思いながらも、私は重い口を開いた。
非常に良い質問をありがとう。
まずは、諸君らの1年の活動への参加に感謝を述べたい。
こうして1年間、我々が活動を続けてこれたのも、諸君らの協力があっての事だと思っている。
でだ。
なぜ今、準備が出来ていないのかについてだが…。
初めて参加する方もいると思うが、驚かないで欲しい。
私は確かに豪華なフェスを行うとブログで発表した。それは認めよう。
しかし、諸君らを”おもてなしする”とは一言も言っていない!!!!
このクソ発言とも取れる言葉に、一同は衝撃を受けたかもしれない。
私は続けた。
FIRE FESTIVALはまだ未完成なのだ!今日、私は諸君らに9つのクエストを用意した。
このあと諸君らは、それぞれ自分が好きなクエストを選んで、労働をしてもらう!
”働かざる者、食うべからず”
9つのクエストが全てコンプリートされた時、初めてFIRE FESTIVALは完成するのだ!!
参「…なんか、カッコイイっすね!!」
一斉に拍手が巻き起こる。
さすがは選ばれしギルド団の面々だ。お金を払って労働することへの喜びが身に付いた戦士達だ。
ありがとう。では、最後に大事なことを3つ言う。
一つ、本日はトヤマタウンにおいて”君の膵臓を食〇たい”の上映会が行われているらしい。
そっちに行きたい人は、途中抜けてもらっても全然かまわない。
ただし!その裏切り行為については”はじまりの木”に懺悔してから行くように。
二つ、【内容的にお見せ出来ませんので、当日参加した方のみの心にしまっておいて下さい】
三つ、いつも言っている事なので分かると思うが、そちらにいるお面を被った子が「キツネの娘」だ。初参加者もいるので、改めて言うが彼女の写真はネットに上げないように!ただし、諸君らの写真はブログに晒しまくるので諦めるように。以上。
ソ「では恒例の…桜の木に寿命を捧げよ!!」
全員「おう!!」
こうして、FIRE FESTIVALに”参加”するのではなく、”作る”ことになった参加者達は、
用意された9つのクエストが掲示されたクエストボードへと向かっていった。
今回FIRE FESTIVALを完成させるべく用意されたクエストは以下の9つ。
①プロメテウスの名のもとに
②まさかりかついでさくらがいけ
③生命の泉を見つけ出せ
④夜桜巡れば想いはひとつ
⑤山の恵みを運ぶ舟
⑥ハラペコ回避大作戦
⑦大地をめぐる花と虫のカーニバル
⑧インナー・スタローンを解放せよ
⑨営業、営業、また営業
これらは全て、桜ヶ池周辺を巡るフィールドワークとなっている。
普段は桜の整備活動として特定の範囲しか行かないが、今回は広範囲に渡って桜ヶ池のディープスポットを体感してもらった。
みな、自分の持つスキルなどと相談しながら、やってみたいクエストをチョイス。
各クエストには、それぞれクエストリーダーがいるので、チームに分かれて詳細な説明を受けてもらう。
ちなみに、私は各クエストリーダーを事前に集めて、こう言っておいた。
決して参加者を甘やかすな!1~10まで手取り足取り教えなくて良い。考えるな、感じろ。
ここから先の動きは、全てクエストリーダーに丸投げした。
私はイベント本部にて、待機するようにとの事だったので仕方がない。
とりあえず、参加者が各地へ散っていったあと、景気づけに生ビールを1杯飲み、
速攻で待機しているのがつまらなくなったので、各地へ視察に行く事にした。
ここから約3時間に及ぶイベント準備がスタート。
それでは、各クエストの内容をご紹介していこう。
①プロメテウスの名のもとに
こちらは見た通り、キャンプファイアの準備だが、私がリーダーに要求したのは、
火を”起こす”ところから始める事だった。
誰しも子供の頃に夢見てやったことがあるはずだ。木と木をこすりつけて、摩擦熱で火を起こす事を。
それを30~40代の大人がガチでやるのが、このクエストのコンセプトだ。
②まさかりかついでさくらがいけ
火だけ起こしても意味がない。それを燃やすための木が必要だ。
だったらどうするのか?切ればいいのだ。もっともシンプルなクエストである。
途中、斧の耐久度が0になって破壊されるというアクシデントにも見舞われたが、木を扱うプロであるシムラーを中心に、
何本もの薪を産み出してくれた。
③生命の泉をみつけだせ
火を起こしたなら、それを消す為の水が必要だ。
水道なんかに頼るな!桜ヶ池には人知れず湧き水があるのだ。
バケツで水を汲むべし。
絵的には地味だが、実はかなり重労働なクエストである。
しかも、バケツは9個あるのに、1個しか使ってはいけないという謎縛りがある為、
ひたすら往復していたが、途中からリーダーの機転でリレー方式に切り替えていた。
④夜桜巡れば想いはひとつ
どこかで見たことがある”ぼんぼり”かと思うが、その通りである。
今回は、お隣のユワク温泉より、ぼんぼりをお借りしてきて設置させてもらった。
点灯用の電源工事をするような大規模な事は出来ない為、ぼんぼり祭の初回のみで使用された、
電池式ロウソクが復活した。
リーダーはナント村よりやってきた若き青年だったが、真面目でテキパキと指示を出してくれて助かった。
一番時間がかかったクエストだと思う。
⑤山の恵みを運ぶ舟
今回、我々が食べたお花見用の料理の食材の一部は、トリアンズカフェのグリーンラグーンシェフが用意してくれた。
本当は車でブーンといけば、すぐなのだが、蛮族達が道路を封鎖した為、陸路は使えなくなったので、船で輸送した。
とりあえず、天気がよかったので、デートしている気分で、めっちゃ気持ちよかった。
一緒に乗ってるのが男なのが残念だが…。
こちらには長老も参加。3隻の船団が食材を輸送する姿は、なかなかの光景であった。
⑥ハラペコ回避大作戦
食材を運んだら、当たり前だが調理せねばならない。
今回提供されたのは、全部で4種類。
ジョウハナ青年会の協力のもと、兄貴のたこ焼き。
自遊の森の協力で、おでんとお弁当。
ギルド団お手製の、餅入りミネストローネ(ソーマがトマト嫌いなので、トマト抜き)
見習い勇者ソーマ監修、サクラーメン
これらの料理を準備する訳だが、もちろんテントを立てるところからスタートである。
どれも、めちゃおいしかった。
特に兄貴のたこ焼きはヤバイ。2~3個買う人続出。
⑦大地をめぐる花と虫のカーニバル
要は実地調査である。HPに生き物図鑑コーナーがあるのだが、なかなか数が増えないので、
この機会に大量の草花虫を調査しようという企画。
こちらの意図としては、湖畔の周りをまわってもらうぐらうのつもりだったのだが、
リーダーの熱意溢れる行動力で、山側の超ディープスポットに侵入して真の冒険をしてきてくれた。
結果、整理しきれないほどの成果があがった。その一部を紹介しておく。
⑧インナー・スタローンを解放せよ
ご存知の通り、インスタ映え=インナー・スタローンであると定義された訳だが、
熱い想いを写真にぶつけて、これぞ!という1枚を撮ってきてもらうクエスト。
参加者が撮ってきた死力の1枚づつをご紹介。
(撮影:齋藤)
(撮影:中原)
(撮影:坂田)
(撮影:西)
尚、今回のスタローン大賞は、見習い勇者ソーマの独断でこちらの一枚に決定!!
(撮影:益谷)
⑨営業、営業、また営業
これはビラ配りである。我々がFIRE FESTIVALの準備を完了しきったところで、
何も知らず、普通に桜ヶ池にお花見に来ている一般人を巻きこむべく、営業活動を行った。
詳細はイベントレポート後半に紹介していこうと思うが、一つだけ感じたのは、
ビラの効果って予想以上にすげぇ!ということであった。
こうして、各地で奮闘を続けるギルド団員達を隅々まで視察した見習い勇者ソーマは、
みんなが一つの目標へと向かって、共に歩む姿に大いに満足をしつつ、缶ビールを3本ほど飲んだ。
次回
イベントレポート後半戦
ついにギルド団が産み出した火が各所に点火され、FIRE FESTIVALがスタート!
お花見、返礼品オークション、記念植樹、サプライズ発表、ぼんぼり点灯など、後半もカオスな祭りはボリューム満点。
乞うご期待!