第四十八章 蛮族ふたたび
新型コロナ渦巻く中、今年の目玉でもあるネット募金用返礼品。
その名も「蛮族のノコギリ」の進捗状況確認の日がやってきた。
見習い勇者ヨシュアに完全に任せていたのだが、万策尽きてなければ良いが…。
ド「おっす、オラ、ドーグ!勇者のみんな元気か?」
ナ「フルスロットルやん、ドーグさん」
もはやコスプレしてくれと一切頼んでないのにしてくるあたり、完全に自らの使命に目覚めた賢者になっている模様。
ダ「お疲れ様です、ええ」
その後、チームリーダーでもあるダワこと和田さんが合流。こちらはコスプレするのが一苦労だからやらない様子。
シ「…フォース」
最後はダースモール西村になったシムラーも参加。おそらく自宅ではシスの力を崇拝しているようだ。
ソ「みなさん、お疲れ様です。こんなご時世なのでTV会議ですが、宜しくお願いします」
ヨ「宜しくお願いします」
ナ「よろしくです~」
~結構前の事なので、ここでおさらい~
去年の夏の終わり頃に、雑木との戦う為の武器が欲しいと言い出した勇者ソーマは、タカオタへと。
そこで、タカオタクラフトの皆さんと共に、実用性のあるノコギリを返礼品にすべく打合せを行った。
あれから7か月。
見習い勇者ヨシュアに制作進行を託したのだが、試作品が上がってこない事に不安を覚えた勇者ソーマは、
ついにタカオタクラフトこと蛮族たちと直接交渉に臨む事となったのだ。
ソ「それでは皆さん、早速ですが核心に迫りますが良いですか?」
ド「おう、ドンとこい!」
ヨ「(ドキドキ)」
ソ「ズバリ!蛮族のノコギリはどこまで出来ているのでしょうか!?」
ド「見ろ!これが蛮族のノコギリver0だ!!!」
ソ「っ!!!!!!」
予想外に出来ていたというか、何か想像していたものを超えている…一体、彼らは何を作ろうとしてるんだ!?
みんな新型コロナで本業も大変なのに、こんなことやってて大丈夫なのか!?
この愛すべくバカ者共め!!
ナ「何か、想像してたのよりすごいもんになってるやん!」
ソ「すげぇじゃねーか!オラ、感動したぞ!」
ド「これが我々、蛮族の力よ、恐れ入ったか!!」
ヨ「(良かった…)」
ソ「よし、じゃあ次の質問だ!これを5月末には新規返礼品として出したいのだが、あとどれぐらいで完成するんだ!?」
ド「…あと……」
ダ「6…」
シ「…あれ…せ…」
ソ「ごめん、ちょっと聞き取れなかったから、もう1回大きな声で言って?」
ド「…たぶ…シ」
ダ「あと…アル…イ…処…」
シ「ん~…デザ…」
ソ「なんて?」
ド「アルバ…ト…が」
ダ「たぶん、アル…バイトは…」
シ「…やろ…ね…」
ソ「おーい、聞こえてますかー?」
ソ「…」
途中から全然音声が聞こえなくなってしまい、何言ってるのかまったく分からなくなった。
とにかくアルバイトが何か関係しているようなのだが、まったく理解できない。
ナ「アルバイトって何やろ?」
ソ「わからん、これ作るのにアルバイト何人雇うかってことかな?」
ヨ「(絶対違うと思う…)」
コロナの影響によるTV電話会議は爆発的に増えたが、正直、色んな種類がありすぎてどれが良いのか分からん。
少なくとも自分は5種類ぐらいやってみた。
埒が明かないと思われたその時、ダワが画期的な方法を考案したのだった。
TV電話なのにチャットで話す。
もはやTV電話の意味をほぼ成していない奇策だが、ようやく話は分かった。
こんな内容の話であった↓
要は表面の加工方法について説明してくれていたのだが、全然聞こえてなかった。
アルバイトじゃなくて、アルマイト処理というものを施すことで耐久度が上がるらしい。
あとシムラーが彫金の型を作ってくれて、表面に彫金が施される予定との事。
その後も専門用語が飛び交いあう熱いプレゼンであった。
ソ「皆さん、ありがとうございます。では5月中旬には、ほぼ完成形になるという事で大丈夫ですか?」
ダ「シムラーさんの彫金デザインがGW中で上がればいけるはず」
シ「なんとか頑張る」
ド「あとは任せておけ!」
次はGW明けに、ほぼ完成形のプロトタイプがお見せ出来るだろう。
蛮族3人組によるジャパネットタカオタという番組を収録する事も決まったので、
動画で商品説明がされると思う。編集はもちろん…。
一応、言っておくけど、今回俺は何も言ってないから。
狐の娘に編集してもらおうって言ったのナカムラやから。
次回 見習い勇者ヨシュアがついに動き出す。
最初の仲間を求めて彷徨い歩くヨシュアを柱の影から見つめる正体とは。
ついに7人目の勇者登場か?