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2018. 8. 3

桜ヶ池クエスト Lv2 ギルド団結成

2018年7月29日。勇者と神様が仲直りしたことで、ほんの少し台風がそれてくれた結果、北陸地方が猛暑日となる中「桜ヶ池レベルアップクエスト01」が開催された。

当日は、台風はどこに行ったんだ?と思うほどの快晴であり、照り付ける太陽が心配されたが、湖畔から吹く風と、桜の木の木陰が我々を守ってくれた。

そもそも、「レベルアップクエスト」とは何なのかを改めて説明すると、桜ヶ池湖畔の桜の木の整備活動を行うことであり、決してスラ〇ムやリ〇レウスなどのモンスターを狩るイベントではない。この日の参加者は総勢20名(スタッフ入れて計30名)。小規模だと思われるかもしれないが、平均年齢37歳かつ、ほぼおっさんしかいない勇者達主催のイベントと考えると、逆に集まった事が奇跡であり、この謎めいた初回イベントに「いざ桜ヶ池!」と馳せ参じてくれたギルド団1期生のみなさんは、かの鎌倉の世の武士にも引けを取らないサムライソウルの持ち主達だった。

定刻の10時になると共に、2列横隊に整列したギルド団員。

団長である見習い勇者ソーマの訓示を受けた。

ソ「このイベントに来てくれたことを感謝する。どんなイベントなのか不安な方もいると思う。でも、俺はもっと不安だから安心して欲しい。これから大事な事を3つ言う」

一つ、このイベントは地味でガチな桜の木整備活動であるが、こういった地味な活動の積み重ねこそが桜の木を救うものと信じている。一応、言っておくが声優さんが来るかもしれないなどという淡い期待を持っているならば、今すぐ捨てて欲しい。

そんなものはない!!!現実にあるのは、20人のおっさんの集まりである。

 

二つ、決して無理をしないで欲しい。見ての通り猛暑日である。もし、炎天下の中でおっさんが倒れた。なんてことになると、この暑さに負けないぐらいネットで炎上することになる。だから、ちょっとでもしんどいと思ったら、すぐに救護の方に言う事。

 

三つ、もう気付いているかもしれないが、この場には女性が一人だけ存在している。

あれこそが「キツネの娘」だ。しかし、彼女は人間ではない。諸君らは今日、何も見ていない。見たのは「キツネ」だ。肝に銘じて欲しい。

ソ「最後に。この活動は何十年と続くものになるだろう。恐らく、あの苗木が立派な大木になる頃、我々は誰も生きていない。そう、我々は、桜の木に寿命をささげる!!!」

ギ「ハッ!!!」

 

こうして、桜の木にこびりついた苔討伐が始まった。

南砺市造園組合、たかだしゃちょーのご指導のもと、方々に散らばっていくギルド団員達。あらかじめマーキングされた桜の木を目印に、各個撃破すべく作業を開始する。ちなみに軍手や竹べらなどは全てギルドからの支給品。

見ての通り1ミリも派手さはないが、ずっと続けていると、苔に覆いつくされていた木の表面が露わになり綺麗になっていく姿が少し楽しくなってくる。

しかし、やればやるほど、どこまで綺麗にすればいいのか分からなくなり、次第にゲシュタルト崩壊をおこし始める。

そんなときは高圧洗浄機の出番だ。最後に残った苔はすべて水圧で吹き飛ばす。

ちなみに、写真に写っている2人は造園業者の方ではなく、ギルド団員である。

「つなぎ」という名の甲冑に身を包んだ2人は、まっさきに高圧洗浄機担当としてたかだしゃちょーに指名されていた。

しばらくすると、長老ホーリーが出現。

本当は越丸(ホーリーが飼っているレア犬)も一緒に来たかったそうだが、

暑すぎて断念したとのこと。ホーリーは自前の高位魔法衣を身にまとい、誰よりも桜ヶ池の地に溶け込んでいた。さすがはこの地に住む魔法使い。

どれだけの時間が過ぎたのだろうか、次第に討伐されていく苔。

そして、ついに最後の1本まで到達し、丸裸にされた桜の木が連なる中、高圧洗浄機がダメ押しの一撃を加える。

こうして、メインクエストである「苔討伐」は無事に成功を迎えた。

時間を計ったところ、いかにギルド団員達が真面目に取り組んでくれているかが分かる結果なのだが、正直な話、みんな真面目過ぎて、想定よりすごく早く終わった。

次回のイベントでは、もっと活動範囲を増やさないとならないと痛感。

まぁ、早く終わったなら終わったで、それもまた良し。という事で、

「桜ヶ池クエスト」ならではの緩さで、参加特典であるBBQへと移行

ソ「え~暑い中、みなさんマジであざっしたー!では、かんぱーい!」

 

もう見習い勇者なのか、ただの地元のあんちゃんなのか分からないレベルの乾杯の挨拶を経てBBQが開始。尚、今回のBBQに提供された野菜の一部は、長老ホーリーが自宅の畑から異次元転移させた野菜らしい。

我々、勇者達も一緒に参加。みなさんに感想を聞いてみた。

 

「ブログを読んで応募しました。以前から、アニメと地域活動との連携などに興味があったので、どんなイベントか少し不安でしたが、思い切って参加しました」

 

「もっと桜の整備活動に時間を割いても良い気がした。割と早く終わってしまった感じがありBBQがメインのようになっているので、もう少しやった感が欲しいかも」

 

「人が集まっていない気がして、参加しました。これからこういった活動を続けていく上で、地域の方がどういう形で参加されていくのが気になっています。アニメファンだけではなく、本当に意味で地域とファンが融合して欲しいと思います」

 

「この桜ヶ池クエストの活動もそうだが、先日発足した間野山研究学会が、今後、どういった活動をしていくのかが気になっています。桜ヶ池クエストとの関連などもあったりするのでしょうか?」

 

「正直、遠方から来るのは難しいイベントだと思う。近場の人間であれば、毎回参加も出来るが、そうなってくると、活動する人が同じになっていき、何年も続けていくうちにマンネリ化していかないかが心配」

こんなにオブラートに何も包まない辛辣な意見をそのまま載せるイベントレポートあって良いのか?と思うが、これでいいんじゃないかと思っている。

我々の活動自体が模索の中で始まったばかりであり、貴重な意見として、今後の活動の為にも記録しておきたいのだ。

見習い勇者が参加者に伝えていたのは、以下のようなことだった。

「このイベントを通して、何千人とかを集めるつもりは無いです。

そもそも、1日だけ、そんなに人を集めたところで、それが地域の賑わい創出とは言えないですし、そのことはサクラクエストの中でも描いてきました」

「もちろん、この活動が何年も続いていけば、節目では、大規模なイベントもやれると良いなとは思っています。ただ、我々、勇者のメイン活動は、あくまでも年4回の桜の木の整備活動であり、夏、秋、冬は20~30人ぐらいでもいいので、毎年のように継続して参加してくれる方の方がずっとありがたいです。みなさんはその第一陣です」

「ただ、春だけは桜の季節なので、お花見や新たな桜の植樹も兼ねて、少し大きめのイベントにはしようと思っています。次の秋のイベントも、また是非来てください。」

そうこうしているうちに、森の人が必死にバックヤードで茹で続けた、そうめんの準備も完了し、流されそうめんのスタート。タレはお馴染み「よろこぶそうめん」

予想以上にハイスピードな速度で流れるそうめんをキャッチするのが一苦労の方もいたようだが、久しぶりに食べるとやはりおいしい。「よろこぶそうめん」は偉大なり。

腹も膨れたところで、ギルド証の授与式へと。

先のブログでも紹介していたが、今回「井波彫刻師×似顔絵師」という異色のコラボの元に完成した、木でできたギルド証。

このギルド証はイベントに参加した方のみの限定品であり、今後も販売予定などはない。

共に汗を流したギルド団員のみが手にする事が出来るのだ。

長老ホーリーより、感謝の言葉と共に、1人1人に授与される。

中には、感極まり、思わずひざまずくギルド員も。

最後は、1人ずつ聖剣と苗木と共に記念撮影。

そして、全体集合写真を撮ろうとしていた、その時だった。

私は見てしまったのだ。奴の姿を。

遠くから苗木を見つめる赤い2つの赤い目玉。

緑色の体毛

鋭く生えた爪と角。

その名は「チュパカブラ」

あまりに突然のことに、スタッフすら写真に収められない速度で逃げていくチュパカブラ。

残念なことに、公式記録として残されたこの2枚のみであった。

森の奥での死闘ののち、私はチュパカブラを退治し、その首を獲ることに成功した。

今後は剥製として、桜ヶ池「自遊の森」管理事務所にある展示スペースにに飾っておくことにする。

長老ホーリーからの言葉

『はじまりの木』の元に集いし勇者たちよ。暑い一日、お疲れさまじゃった。

 

遠い昔だったか一年前だったか、そこははっきりしない頃から、

このあたりに語り継がれる【サクラクエスト】は聞いたことがあるじゃろう。五人の勇者が魔獣から王国を救う物語じゃ。

 

あなた方は、五人の勇者が物語に遺した知恵を、

今こそこの地で活かすべきだと立ち上がった勇者なのじゃ。

物語と現実の世界を繋いだのじゃ。

このことこそ、後世に語り継がれる物語の価値なのじゃ。

ワシは嬉しい。

 

見習い勇者ソーマは、この活動をこれからも続けると言っておる。

地味で忍耐が必要なクエストじゃ。

 

だがしかし思い出されよ。

【サクラクエスト】で語られる五人の『余所者・若者・馬鹿者』たちは、

傍目には地味な闘いの中に面白さと使命と希望を見出したからこそ、

『桜の王国』復活の偉業を成し遂げて伝説となったのじゃ。

 

我々も伝説の勇者に倣おうではないか。

桜が美しく咲き乱れるこの地を夢見て、このクエストを大いに楽しもうではないか。これからも宜しくたのみますちゃ」

長老からのありがたいお言葉であった。

そして、イベントのラスト。

見習い勇者ソーマから語られたのは、まさかの小学生の頃から続くあの話であった。

ソ「皆、今日はよく頑張ってくれた。栄えある夜明けのギルド団の1期生を誇りに思う」

ギ「ハッ!!!」

ソ「では最後はこの言葉で〆ようと思う…家に帰るまでがクエストです。総員解散!!!」

ギ「…ハ、ハッ!!!」

 

おしまい

 

次回、イベントが終わって気が抜けた見習い勇者

そんな中、森の人が長老ホーリーと2人ではじめてのおつかいへ