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2019. 1. 25

第二十六章 残されし伝書

次回レベルアップクエストのタイトルを「雪山に潜む闇と対峙せよ」にしたものの、今年、あんまり雪降ってないから、雪山じゃないかも…と思っていたのだが。

一瞬で、立派な雪山になったので、問題無さそうである。

ナ「何してんの?」

ソ「いや、雪見ると、どうしても…」

ソ「転がさないといけない使命に駆られるんだよね」

ナ「どこまでやるねん…」

とりあえず桜ヶ池はこんな状況なので、2/2のイベントに参加される方は、

冬装備を忘れずに!特に県外から来られる方は気をつけて下さいね。

ソ「手ぇ冷た…」

サ「素手で雪だるま作ったんですか?」

森「手袋せずにやるところが、雪国育ちからすると考えられん」

 

こうして、本日も牧歌的な会議がスタート。キツネの娘は仕事の為、欠席。

囲炉裏を囲ったおっさん4人の絵面ってマジで地味だなと改めて認識する。

サ「そういえば、僕のカバンにこんなものが入ってたんですけど…」

ソ「何これ?」

 

サコディが持ってきたメモには、以下の事が書いてあった。

桜ヶ池マラソン誘致案

桜整備状況を可視化する攻略マップ制作案

勇者おっぱいパッド案(却下)

小中学校への協力要請案

桜ヶ池クエスト絵本化案

※絵本の内容は検討継続だが、家庭を持つ勇者が、嫁に怒られながら子育てと世界を救うことの狭間で揺れ動くイクメン物語。その名も「世界を救う暇あったら、子育てしろよ」

 

ソ「おっぱいパッドって何だよ。この案出した奴クソだな」

森「君が出した案やで」

ソ「えっ…俺が…おっぱい…だと」

ナ「これ去年末の忘年会の時の会議メモちゃうの?」

サ「やっぱりそうですよね。なんかメモしてたのは覚えてるんですが」

ソ「みんなで手をつないだ事ぐらいしか覚えてないな…」

森「どんだけ記憶ねぇんだよ!」

ソ「まぁ、でも酔ってた割りには、真面目な案が多いからいいんじゃない」

ナ「これ、全部ホンマにやるの?」

ソ「桜整備状況の可視化マップなんかは、全然出来そうじゃん」

サ「間野山ウォーキングのマップがあるので、ベースで使えるかもですね」

森「整備状況だけじゃなくて、この周辺の解説とかつけてみたら?」

ソ「桜ヶ池攻略本だな。よし、これは早速編集作業を始めよう」

森「ちなみに、マラソンについては調べてみたよ」

森の人が言うには、マラソン大会というのは、それを実施している団体があるそうで、誘致すること自体はそこまで難しい事ではないそう。

実際に、桜ヶ池に近いフクミツやトガでも、実績があるとのこと。

 

ソ「意外だな。一番難しそうなのに、近くでも行われてるんだ?」

ナ「どれぐらい人来るんやろ」

森「それも調べたけど、800~1000人ぐらいはいくらしい」

ソ「えっ、そんなに!?」

マラソンというのは、愛好家が多いらしく、健康の為~ガチで参加まで含めて、かなり広い年齢層をカバーしているらしい。

 

ソ「じゃあ、チャリティマラソンとかはどうなの?走って桜を救おう!みたいな」

ナ「めっちゃ聞いたことあるフレーズな気が…」

森「仮にチャリティ要素が無かったとしても、マラソンの醍醐味である、景色を楽しむって点では、春、桜満開の桜ヶ池は向いてると思う」

サ「本当にそれだけ人が集まるなら、桜ヶ池という地域を再認識してもらう良い機会かもしれませんね」

ソ「なるほど…1日のイベントではあるけど、それで地域自体に興味を持ってもらえるなら、やる意義はあるかも。それにしても、良くみんな42,195キロも走るな」

森「そんなに走る訳ないやろ!リレー式だよっ!」

ソ「えっ??だってマラソンって42.195キロじゃ…」

ナ「それ、フルマラソンやから」

サ「1人で走ったら、みんな倒れますよ…」

 

マラソン案は非現実的に思えたが、案外やれそうな気がするのと、構造的にも、おもしろそうなので、実施に向けて、本気で検討してみることになった。

実現したら「桜ヶ池チキチキ猛レース」という名前にするつもりだ。

ナ「この小中学校への協力案っていうのは、なに?」

ソ「あ、思い出した。俺が出した素晴らしい案でしょ?」

森「都合よく思い出す奴だな」

サ「子供達にも活動の輪を広げたいってやつですよね」

ナ「それやったら教育委員会を通す必要があるから、ナント村経由で聞いてみてもらうのが良いと思う」

普段、ナカムラはナント村の職員の方とのやり取りを担当しているので、こういう時は頼りになる。これまでは我々単独での活動が多かったが、今後は、行政の力を借りたいシーンも出てくる気がするので、ナカムラを選んだ俺は、先見の明があると言えよう。

ソ「さすが判断が的確だな。俺が選んだだけの男だ」

ナ「そんなもん、ちょっと考えれば分かるやろ」

 

ナカムラはお金の管理と私の冗談に対しては非常にキビシイ。

という事で、本件はナント村からの返答待ちとする。

ソ「最後の絵本というのは?」

ナ「これは長老からの案だったかと」

森「…思い出した!みんなで内容を話し合ってるうちに、ソーマ君が家庭の話をし始めたせいで【世界を救う暇あったら、子育てしろよ】ってタイトルになったんだよ」

ソ「勇者なのに、リアルな世界観が面白いでしょ!」

サ「それなんですけど…調べたら、非常に似てる内容の漫画が既にありまして…」

 

サコディが見つけた漫画を読んでみたが、母親視点か、父親視点かの違いはあるものの、ネタとしてはほぼ丸被りであった。

ナ「アカンやん…完全に盗作になるやん…」

ソ「ちっ…先を越されたか…」

森「ドラ○エっぽいところまで被ってるね…」

サ「なので、内容については再度見直す必要があるかと」

ソ「俺、思うんだけどさ、長老が話を考えればいいんじゃない?絵本を作りたいと提案したって事は、絶対に長老の中で作りたい“何か”があると思うんだよね」

森「ムー○ン的な?」

ソ「そう、ムー○ン的な」

サ「前もムー○ン谷欲しいって言ってましたしね」

ナ「あんまりムー○ン、ムー○ンって連呼せん方がええで」

ソ「じゃあ、ムー○ンじゃなくて、カバに似た森の妖精」

森「そういえば、ムー○ンって妖精なんだっけ?」

サ「昔、アニメで見てたな、ムー○ン」

ナ「だから、ムー○ンはアカンから」

ムー○ンぽくするかは置いておいたとして、絵本企画については、一旦、長老が作りたいイメージをサコディがヒアリングして、まとめた上で、我々はオブザーバーとして参加するのはどうだろうか。

我々だと、どうしてもリアル系な話しか考えつかない気がするのだが、せっかく絵本という新しい媒体に挑戦するのであれば、ファンタジーな世界観の方が良い。

ここに長老を絵本作家としてデビューさせる計画を発動する。

ソ「じゃあ、各提案については、来週以降も検討継続という事で。そういえば、2/2のイベントの応募状況ってどう?」

森「あ、もう残り1枠かな。ほぼ埋まったよ!」

 

何と言う事だ…。

こんな雪山に集まって“会議を行う”というイベントなのか、頭脳労働なのか分からない内容に、既にそんなに集まってくれているとは…感謝感激。

イベントにお越しの皆様、来週お会いしましょう!

 

次回 イベント直前。いつもと違ってバタバタはしないかも?

インフルエンザになってない事を祈るのみ。