LOADING...
2018. 11. 2

桜ヶ池クエスト Lv3 バーサーカーの叫び

2018年10月27日。前日からの予報通り、小雨が降りしきる桜ヶ池の地に、再びギルド団の戦士たちが舞い戻ってきた。

正直、悪天候の中での作業となる為、参加者が減るのではないかと心配していたのだが、屈強な戦士たちは、みるみるうちに増えていき、私の不安を吹き飛ばしてくれた。

今回の「レベルアップクエスト02」は、事前のブログでもお伝えしていたように、3つの団体が参加している。1つはマキパイセン率いる「桜満開プロジェクト」で、地元の方を中心に桜ヶ池の清掃、整備活動を行ってきた団体。

2つ目は北海道大学観光学高等研究センター、山村教授率いる「間野山研究学会」で、アニメ「サクラクエスト」をきっかけに、地域振興について考えていく学者、研究者のみなさんを中心に結成された団体。

そして、3つ目は長老ホーリーを長とし、見習い勇者ソーマ率いる「夜明けのギルド団」である。

このため、下は高校生から上はおじいちゃん、おばあちゃんまで、完全に多国籍軍と化したアメイジングな光景が広がっている。

定刻の10時となり、まずは各3団体の長がそれぞれ挨拶を述べる。

マ「今日は悪天候の中にも関わらず、こんなにも多くの方にお集まりいただいた事、嬉しく思います。初の3団体合同開催ということで、このような規模になりましたが、今後も継続して活動を続けて行ければと願っております。」

 

ホ「本日は天候が良くないが、これも桜が池の竜神か我々に与えたもうた試練なのじゃ。ここを乗り越えててこそ勇者の冒険譚になるのじゃ!」

山「今回、間野山研究学会として、初めてクエストに参加させて頂きます。地域外の方と地域のみなさまが共同で作業を行うという新しい試みに、可能性を感じております。本日は宜しくお願い致します。」

続いて、恒例の団長からの訓示。

ソ「今日は、みな、悪天候の中、良く集まってくれた。今から大事なことを3つ言う」

 

一つ、昨日の夜twitter上で“明日雨っぽいけど、桜ヶ池クエストやるのかな?”という書き込みを見た。ここではっきりと言っておく。雨だから来ないような軟弱者は、我がギルド団には必要ない!!だが、かと言って無理はしないで欲しい。今回は熱中症の危険はないが、かわりに雨の中での作業になる。しっかりと防寒は行って欲しい。

 

二つ、今回、我々ギルド団の鎧を作成した。私が身につけているTシャツがそうだ。もう買ったひと?(数人だけ手を上げる)…これが売れなかった場合は、企画を提出した森の人が責任を問われることになる。尚、このTシャツの販売収益の一部は寄付に回されるので、もしよかったら、是非ご購入頂きたい。

 

三つ、皆さんから見て、左側の前に女性がいると思う。

「キツネの娘」だ。今日は人間に化けている。決して写真を撮ったりしないように。

もし撮れば、キツネは二度と姿を現さない事だろう。

 

では、ご唱和下さい。桜の木に寿命を捧げよ!!

今回も、冒頭から飛ばしまくりの見習い勇者に続いて、みなさんご存知、造園業者社長、たかだしゃちょーによるレクチャーを受ける参加者達。

今回は、参加人数が前回の3倍以上、かつ範囲もかなり広い為、部隊編成を行う。

たかだしゃちょーの迅速な指示により、計5部隊が編制された。

また、ノコギリや薬剤などのアイテムも使用する為、事前に役割分担を行う。

率先して役を担ってくれる方々がいてくれたおかげで、大きな混乱もなく、準備は整った。

もう、我慢できずに腕立て伏せを始めている方もいた。

どこからか法螺貝の音が聞こえてきそうな雰囲気の中、混成部隊が出陣。

今回、作業するのは、桜ヶ池の中でも奥地である。多くの桜が植樹されているが、同時に桜の木を遮る形で雑木たちが生い茂ってしまっている、激戦地へと派遣される。

道中で、我々よりも先行して出発されていた「桜満開プロジェクト」の方とすれ違った。

おじいさんとおばあさんが、お2人で桜の木の周りを綺麗に整備されていた。

きっと、30数年前にお2人で植えられた桜を今日までずっと大切にされてきたんだろうな。と、少し暖かい気分になった。体感温度は寒いけど。

現場までは、みんな雑談しながら楽しそうだった。我々は、この時まだ理解していなかったのだ。病気になった枝をちょっと切るだけでしょ?ぐらいの軽い気持ちだった。見習い勇者ソーマでさえも、これだけ人数いると、また早く終わっちゃうかも…。程度の認識しかなかったのだ。

まずは先陣が、担当地域に到達。武器の支給が開始される。

雑木という未知の敵を倒すべく、ノコギリを手にする参加者達。

徐々に緊張感が高まっていくのが分かる。

一方、我慢できない長老ホーリーは、斥候隊を率いて夏にも行った苔取りを始めていた。

夏は乾燥していて、苔の粉が飛び散って大変だったが、今回は湿っている為、作業しやすいとの事。

そうこうしているうちに、雑木との戦端は荒々しいエンジン音と共に開かれた!

たかだしゃちょーの持つ機械式回転刃によって見事にカットされる、雑木。

しかし、こんなものは序章に過ぎなかった。

気が付くと、我々ギルド団は、どこからともなく現れた、地元のおじさんたち囲まれている。皆、手には機械式回転刃。

聞くと、彼らは地元有志の方々で、普段から桜ヶ池の整備をしたくてたまらない狂戦士たち。そう、バーサーカー(lv74)だったのだ。

荒れ狂うエンジン音と共に切り倒される雑木を見て、私は思った。

ソ「…(えっ…そんな太いのも切っちゃう感じなん…?)」

ソ「…(ウソやん…それ枝ちゃうやん。もう木ぃやん)」

ソ「…(めっちゃ切ってるやん…これ雑木処理じゃなくて、本当に木ぃ倒すやつやん…)」

森の人に「ここまでやるとか聞いてないよぉ~」とダ〇ョウ倶楽部風に問い詰めたかったが、そんな暇もなく、次々に切り倒されていく雑木を呆然と見つめながら、我に返ったギルド団員達も戦いを始める。

ギルド支給品のノコギリで雑木に立ち向かう戦士たち。我々に待っていたのは、枝の伐採なんかじゃなく、木を切り倒すことだった。ちなみに、バーサーカーたちが持っている、機械式回転刃は、lv60以上か、職業:造園騎士じゃないと扱えないジョブ専用武器の為、lv2の我々では装備すら出来ない。

わずか2,30分で軽トラ一杯に積まれる残骸。バーサーカーたちや、ノコギリ部隊が切り倒した木や太い枝を、下で更に細かく解体していく。

続いて、薬剤部隊が、切り取られた部分に防腐剤を塗っていく。

雑木も切っているが、桜の木自体も、すでに枯れてしまっている枝は切り落としている。

しかし、切ったままにしてしまうと、そこから木が腐っていくのを防ぐためだ。

一時的に傷ついた桜の木を癒していく姿は、まるでヒーラーのようだ。

枯れた枝を切り取ることで、生き残った木本体は再び息を吹き返すだろう。

徐々に進軍速度を速めながら、更なる奥地へと向かうギルド団。

切る、薬塗る、解体、積み上げ、回収。と自然に役割が分かれていく。

しかし、敵の数も半端じゃない。30数年の間に生い茂った雑木は蔦が絡まり合い、切っても切っても、容易には解けない。

とりあえず、全員であれこれと無我夢中で作業していたら、昼になっていた。

森の人からの連絡で、昼食の準備が整ったとのこと。一時、休憩。

本当は、夏同様に外のBBQ広場で昼食の予定だったのだが、雨の為、喫茶アンジェリカへと全員を収容。

今回、提供したのは、上記のメニュー。

ここ喫茶アンジェリカで提供されているアンジェリカレーがベースだが、

桜ヶ池“食”企画で開発された、地元産むぎやポークを使った特製ソーセージを乗せ、

同じく地元産のさといもと、きのこを入れたクラムチャウダー。

プロの料理人であるグリーンラクーンが仕込みを行い、森の人とキツネの娘が、

我々が作業している間に調理を行った。

これは、あとで「間野山研究学会」に行った時に聞いた話だが、昼食時には参加者同士の交流もあったようだ。

今回、参加してくれた方々は、本当に多種多様であり、全員がアニメファンという訳では無かったと思う。そんな中でも、年齢、性別、趣味に関係なく、きっかけはアニメだったとしても、現実の桜ヶ池の為に何かしたいんだ。という想いで集まった人たちが談笑し合い、作業は大変ではあるけれど、すごく楽しい。という会話もあったそうだ。

正直、すげー嬉しくて、泣きそうになった。

昼飯を食ったあとは、速攻で後半戦の開始。午後からは学会発表の為「間野山研究学会」のみなさんはそちらへ移動。純粋なギルド団のみでの作業となる。

自分も学会へ参加の為、午後の作業には参加できず心苦しかったが、代わりに森の人が合流。

夏は活動範囲が狭すぎて、午前中でほぼ片付いてしまったが、今回はもう範囲指定がなくなりつつあった。というか、若干みんなテンションが上がってきて、もうやれるだけやっちまおうぜ、になっていったそうだ。

みんな一心不乱だった。造園業者さんも、地元の方も、ギルド団も関係なくなっていた。

午後からの天気は最悪で、一時雨が本降りにもなったが、

それでも、みんな必死に頑張ってくれた。

そして、山のように積み上げられた枝や木は、バーサーカーが投入した重機によって

埃のように砕かれて自然に返されていく。

狂戦士たちは誰にも止められない。

あとで森の人が聞いたらしい。

地元のおじさんたちも、最初はこんな伐採作業もしたこと無い若い奴がいっぱい来ても何か出来るのか?足手まといなだけじゃないのか?と思っていたと。

でも、こんな悪天候の中、真剣に作業してくれている姿に、嬉しくなったと。

きっと、こうやって少しずつの積み重ねが地元の方との距離を縮めていくのかもしれない。

最後の最後まで、作業を続ける団員達。ここまで来ると年齢差も関係ない。

日没が近づき始める。

撤収準備を開始。

最後は、来た道を綺麗に掃除。立つ鳥跡を濁さず。

団「………」

15:30。作業開始から途中休憩を入れて約4時間半。

帰ってきたときには全員、びしょ濡れで無言だった。

撮影スタッフも1日中、雨の中で撮影し続けて疲れていたのだろう。

最後の長老の挨拶も、私の挨拶も写真が1枚も無かった。

普通なら磔の上、まんじゅうの刑に処すところだが、今回は許そう。

イベントレポとしては失格だが、我々の挨拶の言葉は、参加してくれた皆様の心の中にだけにあるという事にしておく。

今回は、夏イベントの反省から、イージーモードじゃなくて、ハードモードにする予定が、選択をミスってエクストラハードに一気に飛んでしまった。

しかし、この貴重な経験を共に積んだ戦士たちは永遠の絆で結ばれたと思う。

ここに、第2期ギルド団に対して、最強軍団の名を与える。

団長 見習い勇者ソーマ

 

 

おしまい

 

次回、「今回のイベント良かったけど、これもう小クエストじゃなくね?」反省会。

こうなったら、春は本気で100人動員を目指しちゃおう。