第二十七章 闇のコロッセウム
レベルアップクエストを翌日に控えた今日、勇者達は最終チェックを行っていた。
ソ「おいおい、サコディ大丈夫かよ?」
サ「別にインフルじゃないですよ。ただの予防です」
ソ「ならいいけど。みんなインフルだけは気をつけてよ」
森「…ソーマ君、風邪引いてるでしょ?」
ソ「…引いてないよ」
ナ「めっちゃ、鼻声やん」
ソ「インフルじゃないし!ただの風邪だし!」
キ「病院行って検査したんですか?」
ソ「した。だから大丈夫。っていうか…キツネのそれは意味あるのか?」
森「ある種、二重防御だよね」
森の人からの報告によると、おかげさまで今回も満員御礼との事。
本当にありがとうございます!
今回は、場所も限定的だし、準備物も少ないので、前日確認は比較的問題無く終了。
のはずだったのだが…。
森「で、これが事前の質問に対する回答書」
ドンっ
ソ「…なんだこれ」
森「だから、みなさんからの回答書。150枚ぐらいある」
今回のイベントは“会議”である為、事前に参加者には質問状を送付の上、
回答をして頂く事で、会議の流れをスムーズにする作戦だったのだが。
ソ「これ回答書っていうか、レポートじゃないの?」
ナ「人によっては、めちゃくちゃ真面目に回答して頂いてますね」
ソ「これ、明日までに全部読むの…?」
サ「自分でやったんだから、全部、目を通してくださいね」
キ「勇者の義務」
こんなはずじゃなかったんだ…。
俺の目録では、会議のフリして、雪合戦とかまくら作りをして終わるはずだったのに…。
ソ「よーし!ここにギルド団議会の発足を行う!!!」
森「???」
ナ「急に何言ってんの?」
サ「また、変なこと思いついた…」
ソ「明日は、議会制にしよう。俺は議長として、みんなに意見を求めて、自分の案をプレゼンしてもらう。それについて、他の人も意見を言いあっていく。もし反対意見が出た場合は、ヤルかヤラれるかまで勝負する、コロッセウム方式で」
キ「議会制って言ってるのに、コロッセウム方式って」
ナ「矛盾しすぎやろ」
森「揉め事嫌い」
サ「はぁ…ソーマさんに任せておいたらカオスになりそうなんで、会議のルールと進行の仕方は僕が決めておきます…」
ソ「ホントっ!?サコディやってくれるの?ぐへへ」
ナ「こいつ、はなから考える気なかったで」
森「議長以外の役職は?」
会議とか、そういう難しいやつはサコディが得意なので、
明日の運営はサコディに一任した。その結果、以下の段取りとなった。
議題は全部で5つ。一議題あたり約1時間とする。
意見のあるものは挙手。上がらなかったら議長から指名する。
必ず全員一度は発言する。
1人の1回のプレゼン時間は3分~5分。
誰かが発言中は、被せない。終わったあとに挙手の上、議長の指示を待つ。
もし、5分以上、会議で無言が続いたら、即解散。
役職
議会の神 キツネの娘
議長 見習い勇者ソーマ
議事録 ナカムラ
ホワイトボード サコディ
ソ「なんで森の人は何も役職ないの?」
森「俺は闇の使者として鍋を作らねばならない」
ソ「お前だけズルいぞ!!!!」
森「お前が、闇鍋するって言ったんだろうが!!!!」
キ「…あの」
サ「なんでしょう?」
キ「議会の神って何ですか?」
サ「ああこれですか。もし、プレゼン時間を大幅にオーバーしたり、議論の場が荒れそうだったり、話の流れが脱線していったりして、収拾がつかないような事になった時に、全てを止める権限です」
ソ「なにそれ、そんな権力俺も欲しい」
ナ「アンタは、黙って司会しなはれ」
キ「止めるって、どうやって止めればいいんですか?」
森「鐘みたいなの用意しとけばいいんじゃない?」
ソ「ゴングだな。意見を戦わせる為の合図、ファイ!」
サ「違います!それを避けるための物です」
キ「じゃあ、とりあえず、私が“気にいらなかったら”鳴らしちゃえばいいんですね?」
サ「えっ…」
ソ「サコディ、お前は誰に権限を与えたのか理解しているのか…」
ナ「コワっ」
森「もしもだけど。鐘がなっても止まらない場合は?」
ソ「安心しろ。その場合は、ギルド団憲章へ背く行為として厳罰とする」
ナ「どんな罰があんの?」
ソ「ここから南に少しいくと、イオックスマウンテンという険しい山がある。その山頂に行って、フェニッ○スの尾を取ってきてもらう」
森「固有名詞でたね」
キ「寒そう」
こうして、明日のレベルアップイベント準備は完了した。
私は、このあと、皆からの意見書に目を通し、明日の議長に備えようと思う。
天候は荒れ模様であり、吹雪くかもしれないが、どんな天候でも決行するので安心して欲しい。
雪山の吹雪と共に、今、闇のコロッセウムの幕が上がろうとしている。
次回
第三回イベントレポート掲載予定。
果たして、雪山で交わされた熱き議論の結果やいかに?