第六十五章 新生 募金の木
ギルド団の皆さん、ご無沙汰しております。
勇者ソーマです。
今年は豪雪で、約束の地も一時はこんな感じで足を踏み入れる事すらできませんでした。
ようやく雪も解けまして、地面が見えてきました。
さて、手始めに、階段や畑がどうなったかを確認したところ…。
やはりダメでした…雪の重みに押されて、階段が乖離しちゃってます…杭打ち直しですな( ;∀;)
畑の方は大きな被害は無いですが、こちらも若干、杭が倒れてるので、また打ち直し。
はじまりの木、看板はだいぶ禿げちゃってますが、
雪囲いも外してもらい、再び元気な姿を見せてくれました!
そして、いよいよ問題の募金の木…。
ここで一度、おさらいしておきますと、昨年秋に、勇者ソーマが大罪を犯した結果、
肥料のやり過ぎで、すっかり元気が無くなってしまったのです。
「落葉しきった募金の木 2021年9月7日」
果たして、募金の木は生き残り、再生する事が出来るのかどうか…!?
いざ!!
どちら様ですか?????
私は一瞬、困惑すると共に、近くで確認してみたのだが、
そこには、見た事がない立派な桜の木が。焦った私は、りりこに電話してみる事に。
ソ「お疲れ様です。あの、募金の木なんだけどさ、何か見た事ない木が立ってるんだけど…」
り「あ~去年話してた、もしダメだった場合、植え替えようって言ってたやつ。昨日、髙田さんがやってくれたので」
えっ、もう植え替えたの!?
いや、確かに言いましたよ。
もし、雪解けてみて、やっぱり蕾も無くて、死んでしまってたら、植え替えしようって。
でもさ、もう少し何かやり方あったでしょうよ。大きさとか形とか似てるやつにするとか…。
だって、これ…。
はじまりの木より、おっきくなっちゃってるよ!
ソ「これじゃ、植え替えたのバレバレじゃん!!」
り「だってダメだった時は、正直に言うからって言ってたじゃないですか」
ソ「いや、そうだけども…そうだけども…」
嘘だと言ってよ、バー〇ィ!!!
ソ「カメラに収まりきらないぐらい大きいよこれ!!!」
り「髙田さんの所にあったストック、それしか無かったんで仕方ないです。では!」
ソ「えっ、ちょ……」
切られた電話を手に、私は覚悟を決めるしかなかった。
このプロジェクトは成功も失敗も全てを明かしていく。それこそが桜ヶ池クエストなのだから。
募金の木の為に、オークションに参加して下さった5名の皆さん。
本当に、本当にごめんなさい…。募金の木は救えませんでした。
髙田さんに確かめてもらったのですが、もう幹の中がダメになっていて、蕾をつける事は無く、
このまま朽ちていくだろうと…。
私は…私はこの手で桜を救うと言っておきながら、
桜を殺したのです。殺木勇者です。
今後、二度とこのような事が無いよう、桜の木に何かする時は、必ず髙田さんに相談してから行う事に致します。
そして、自戒の意味も込めて、禊が明けるまでは殺木勇者と名乗ろうと思います。
あの木は二度と戻っては来ませんが、皆さんの意志はこの「募金の木ver2.0」に受け継がれましたので、
しっかりと成長を見守って参ります。
「募金の木ver2.0 2022年3月20日」
こうして波乱の幕開けとなった、桜ヶ池クエスト5年目の春。
唯一の救いは、はじまりの木は無事で、しっかりと蕾をつけている事だ。
今年も、綺麗な桜を咲かせた姿を皆さんにお届けしようと思います。
では、今年も桜ヶ池クエストを宜しくお願い致します!
殺木勇者ソーマ