第三十五章 見習いの試練
本日正午。長老プロデュースの絵本企画に大きな動きがあった。
既にご存知の方もいると思うが、能登麻美子さんによる絵本の朗読イベントが決定したのだ。
桜ヶ池ファミリア公式HP
https://readyfor.jp/projects/sakuragaike-familia/announcements/102034
今日は、このイベント決定に至るまでの舞台裏を少しお見せしようと思う。
話が少し戻るが、私が聖剣の勇者となり、早1年が過ぎた。
ちょうど去年の今頃。私は、会社の裏で聖剣を引き抜き、1人でどうすればいいのか途方に暮れていた。
そして、長老の元を訪ね、勇者としての教えを乞うたのだ。
あれから仲間も増え、私も少しは成長した訳で、長老にとある相談をすることにした。
ソ「お疲れ様です。すいません、今日はちょっとご相談がありまして」
長「…SHIR〇BAKOの納品日の件ならダメだよ。もう外堀埋めてあるから」
ソ「いや…そっちの件ではなくてですね…桜ヶ池クエストの方です」
長「なんじゃ。申してみよ」
ソ「そろそろ、見習い勇者になって1年が経つじゃないですか?右も左も分からない状況から、なんとか1年間やってきましたし、そろそろ”見習い”を外してもらえないかと思いまして」
長「まだダメじゃ」
ソ「なんでですか?」
長「別に”見習い”で良いじゃろうが」
ソ「嫌です。勇者がいいです」
長「なんでそんなに焦って外すんじゃ?」
ソ「だって、ブログ書くときに毎回毎回”見習い”って打つの超めんどくさくて…」
長「そんな理由なのか…」
ソ「はい。もう勇者ソーマにして下さい」
長「…ならん!」
ソ「ええ…もういいじゃないですか。”見習い”だろうが”勇者”だろうが、みんな気にしませんよ」
長「どうしてもというならば試練を与える」
ソ「ちょっと待って下さい。この1年間色々考えて、真面目に活動してきた事が試練みたいなもんじゃないですか!」
長「君はワシが最初に言った事を覚えておるか?」
ソ「最初…確か、仲間を集めろと」
長「違う」
ソ「…ヤギを飼いたい。1匹ではなく2匹でもやぶさかではない」
長「その通りじゃ。君はそれと真面目に向き合ったか?」
ソ「向き合いましたよ。もうすぐ、ヤギ2匹来るじゃないですか」
長「いいや。ヤギを召喚したのはこのワシじゃ。君は何もしておらん」
ソ「…!!」
長「君は1年間、桜ヶ池クエストで色々とやってきた。それは認める。だが、肝心のヤギに関しては忘れておったのでは?」
ソ「そ、そんなことないです…ちゃんと頭の隅には…」
長「ワシが森の人に会うたびに話し続けた結果、ようやくヤギは実現したのじゃ」
長老と会うたびに、ヤギはどうなっている?と聞かれ続けた森の人に少し同情しつつ、
最終的にヤギを実現させる粘り強さについては、いつもながら感服せざるを得ない。
ソ「分かりました…認めます。ヤギについては放置してました…」
長「やはりそうじゃろう!ワシの言いつけを守らん奴は”見習い”のままじゃ!」
ソ「そこを何とか!!本当にタイピングがめんどくて…試練でもなんでもします!」
長「…本当じゃな?」
ソ「はい…」
長「では、新たな試練を与える!ジャーン!」
ソ「こ、これは…長老プロデュースの絵本企画…!」
先日のFIRE FESTIVALにて発表され、その後、クラウドファンディングが開始されている長老プロデュースの絵本企画。
既にファースト目標の50万は突破していると聞いているのだが。
長「既に最初の目標はクリアした。だが、まだ足りんのじゃ。サコディが悩んでおる」
ソ「えっ、まさかクラウドファンディングの手伝いですか?」
長「そうじゃ。より多くの方に協力してもらう為の施策を考えるのじゃ!」
ソ「そんなの簡単に思いつくはずないですよ!ただでさえクラウドファンディング難しいのに…」
長「当たり前じゃろ。簡単に思いついたら苦労はせん」
ソ「…これを何とかしたら、本当に”見習い”取ってもいいんですね?」
長「よかろう。その時は、晴れて、勇者ソーマとして認めてやろう」
長「一応、言っておくけど、ワシはワシで秘策を考えてあるから。まだ内緒だけど」
ソ「…」
次回
”見習い”を取るべくソーマに課せられた試練。
能登麻美子さんと桜ヶ池の絵本を繋いだ、狸の絆とは一体!?